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執筆者の写真kirakuya-web

~外野の夜明け~ Vo103シャドーダンス


札幌もようやく暖かくなり、夕暮れと共にビルの前で鏡越しにダンスの練習をするストリートダンサーが増えだした。仕事終わりの帰り道、札幌では初夏から秋の終わりくらいまでよく目にする風景だ。  

その中に、70代のお爺さんが1人社交ダンスの練習をしにやってくると噂を聞いた。10代の若者が踊る横で、社交ダンスの練習を黙々としていると。10代のヒップホップダンサーに混じって 社交ダンス…奇妙な光景だとその時は思った。 ところが先日、仕事帰りに偶然あるビルの前でその老人が踊る姿を目撃した。 その老人は上質なスーツに身を固め現れた。俺は申し訳ないがもっと違うタイプの老人を想像していたので、最初は分からなかった。ビジネスバックを床に置くと、上着を脱ぎバックの上にそっと置いた。シャツの袖のカウス・ボタンを外し腕までめくり上げると、ガラス越しに一人で社交ダンスを踊りだした。背筋をピーンと伸ばし、品の良さが身から滲み出ている。その腕の中には、まるで1人の女性がいるかの様に 踊り出した。 その姿が、とても美しかった・・・身動きできないくらいに…暫く足を止めて眺めていた。 久しぶりに俺の琴線に響いた。 夕暮れの夕焼けがガラスに反射して、誰か大切な女性と踊る思い出のシャドー・ダンス…1人踊り続ける老人、いや紳士だね、その足元にはぴったりと寄り添う影。全てがまるで映画のワンシーンの様だった。 帰り道もその光景が頭から離れなかった。奥さんにその話をすると、もう10年前くらいから時折現れて踊っているらしい。どこの誰なのかは不明らしいが、彼が1人ガラス越しに踊り続けている姿を見て 足を止めた人は沢山いるだろうな。好きな事に没頭する姿は、いくつになっても輝きを失せる事なく 光り続けていくだろう… ~発想をかたちに kirakuya web ~ http://kirakuya-web.com http://coconala.com/services/438258 http://coconala.com/services/384468 


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